タンスに眠っている着物の中には、有名な作家や染屋さんが手がけたり、状態が非常に良い場合には、思わぬ高額な値をつけてもらえることがあります。
実際に、私が査定士をやっているときに「着物を売って得られる収入には、税金が課税されるか?」と聞かれました。
結論から申し上げますと、着物を売って得た収入には税金がかかりませんのでご安心ください。
ただし、例外的に着物に課税されるケースもあるのが事実です。
「これから着物を売ろうとしている方」「すでに売っていて高額収入となった方」のために、元プロの査定員が解説いたします。
着物買取とは
着物買取は、ご自身の着物を使わなくなったり、もらったけど使わなかったりした時に、着物を売ってお金を受け取ることのできるサービスを意味します。
買取方法は主に3つあります。
- 訪問:家に来て査定してもらう
- 宅配:自分で郵送して査定してもらう
- 持ち込み:店舗で査定してもらう
査定にかかる料金はどの買取方法でも無料なので、タンスに眠っている価値のわからない着物をまとめて査定してもらう方々も多くいらっしゃいます。
着物買取は税金対象でない(例外あり)
買取サービスをつかって着物を売って得た収入は課税対象になるのでしょうか?
結論から申し上げますと、多くの場合では着物買取は課税対象にはなりません。
洋服や家具、食器といった自宅にある不要品の場合は、「生活用動産」として売って得た収入は所得税の対象外となり、確定申告は不要となります。
こちらが国税庁が定義する「生活用動産」です。
家具、じゅう器、通勤用の自動車、衣服などの生活に通常必要な動産の譲渡による所得です。しかし、貴金属や宝石、書画、骨とうなどで、1個又は1組の価額が30万円を超えるものの譲渡による所得は課税されます。
冠婚葬祭や七五三などの生活機会で多々利用される着物は、定義の中にある衣類に分類されるのです。
つまり、ご自身の着物が「生活用動産」に分類される場合は、売却益がいくらになっても税金を収める必要がありません。
ただし、着物といっても「生活用動産に分類される場合」と「されない場合」があります。その両者の違い何でしょうか?
課税される2つの例外ケース
着物が「生活用動産」に分類されない場合は、以下のいずれかに該当するケースです。
生活必需品として使い古した着物を売るのであれば税金対象にならないのですが、収入を目的として大量の着物を売っていたり、骨董品のように時を経て高額な値がついた場合には税金において注意が必要です。
①事業目的で着物を売るケース
事業目的で大量に着物を仕入れているときは、着物の目的が生活用ではなく、事業用と判断されるので、課税対象となります。
②着物の価値が大幅に上昇したケース
着物を購入した時よりも買取時に価値が大幅に上がっており、売値が買値を超える場合は骨董品や美術品などのように「生活用動産」に分類されなく、譲渡所得として課税対象になる可能性があります。
譲渡所得には、50万円の控除が適用されます。年に数回着物を処分して利益を得た場合でも、控除枠の範囲内であれば課税は生じません。
計算式としては以下の通りです。
この計算は、購入時の取得費がわかっている場合に成立しますが、「処分する着物をいくらで購入したかわからない」ということも多いと思います。
そのような領収書・レシートがない場合には、国税庁では譲渡金額の5%をみなし取得価格にすると定められています。
まとめ
「生活用動産」に分類される生活品の売却所得に対しては、税金がかからないことがわかりました。
着物は、七五三や冠婚葬祭の正装として用いられるので、生活に必要なもの、つまり「生活用動産」に基本的に分類されます。
そのため、事業用に着物を仕入れたり、着物の価値が購入時よりも高騰したりしている場合を除けば、着物買取で得た収入は課税対象になりません。
もちろん、最終的な判断は税務署によってされるので、不安な方は、最寄りの税務署(国税庁サイト)か税理士に相談するようにしましょう。
なんといっても重要なのは、まずはご自身の着物を最大限の価格で査定してもらうこと。
着物買取サービスによって査定価格が全く異なるので、買取業者選びは慎重にしましょう。
元業界人のプロ査定士が厳選した「着物買取サービス」をご紹介します。